ある陸上少年の話
彼は中学3年の時に、2つの高校の陸上部からお誘いを受けました。
親とも相談しながら、真剣に将来の事を考え、 自分の行きたい学校、指導してもらいたい先生を 幼いなりに本人が判断し、進学する学校を決めました。 その先生の元で、さらに練習を重ね、成績を伸ばそうと張り切っていた、 春の日の入学前の出来事。 もちろんその先生が一番悔しかったでしょう。 彼だけではなく、他の中学からも陸上の優秀な生徒を ひとりひとり、努力して集め、強い陸上部を作ろうと励まれてました。 なのに、他の学校への転勤という突然の辞令。 子供たちの決意は? 先生の熱意は? 学校での活躍の場は? そんな事どうでも良かったの? 小さな事なの? 勉強じゃない事で学校を決めた経緯は無視なの? きっと彼も悔しかったでしょう。 導いてくれた先生は居なくなる、 そして、後任の指導者も居ないという事実も知らされて とてつもない不安を抱いた事でしょう。 もしかしたら、ふてくされて挫折するんじゃないかと心配でした。 でも彼とそのチームメイトは、決してめげなかったのです。 励まし合って、彼らなりのやり方で、 時には他校の先生の教えを頂く場も与えてもらい、 切磋琢磨し合って、練習も試合も楽しく頑張ってきました。 その結果、1年の大会、2年の大会でも、彼を含め先輩後輩いろんな選手が活躍し、 表彰台にも何回も登りました。 そして高校生活最後となる、3年になって出場した先日の高校総体県大会。 本人だけでなく、周囲のものすごいプレッシャーの中、 彼は見事に優勝を飾ってくれたのです。 ゴールの瞬間の、控えめだけど嬉しそうなガッツポーズ それを見ていた親は、過去の不運な出来事が瞬時に蘇り、 心から祝福する気持ちが沸き上がって、こっそりと声をあげて泣いていました。 「良かったなあ、良かったなあ」って何度も何度も。 本人たちにとっては、純粋に嬉しい結果なのだと思います。 我々大人から見たら、そんな経緯を経て成し遂げた事に対し、 余計に嬉しく誇らしく思ったのです。 夢の全国大会まで、あと1ステップ。 チームの仲間と共に、きっと成し遂げてくれるように、神に祈ります。
by onsenheights
| 2009-06-11 20:27
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